2026年3月にイタリアで開催されるミラノ・コルティナ冬季パラリンピックでは、スキーと射撃を組み合わせたバイアスロンが大きな注目を集めます。日本勢は金メダリストからベテランまで多彩な顔ぶれで、メダル獲得を目指して戦います。本記事では、静と動が交錯するこの競技の見どころや、応援に欠かせない有力選手の情報を詳しくお届けします。
過酷な挑戦!パラバイアスロンの魅力と日本勢の強み
バイアスロンは、クロスカントリースキーの滑走と標的射撃を組み合わせた競技で、持久力と射撃の正確性の両方が求められます。
雪上を全力で滑走する動(滑走)のフェーズから、一転して呼吸を整え標的を狙う静(射撃)のフェーズへと切り替える瞬間が、大きな見どころです。
特に注目すべきは、選手の身体能力だけでなく、極限状態で自分を落ち着かせる精神的なコントロールです。激しい滑走により心拍数が上がった状態でも、いかに冷静に標的を狙えるかどうかが勝敗を分けます。
外した的の数に応じてペナルティループが科される種目もあれば、個人種目ではタイム加算となる場合もあり、射撃の成否がレース展開を大きく左右します。日本勢にとっても、射撃を安定させられるかどうかが重要なポイントになります。
- スキーで差がついても、射撃の正確さで逆転が起こる点がバイアスロンの面白さです。
- 射撃を終えた直後の順位変動に注目してください。
- 射撃を外すとペナルティループやタイム加算が発生するため、最後まで緊張感が続きます。
近年では、障がいのクラスに合わせて射撃の仕組みも工夫されています。視覚障がいクラスでは、電子照準が標的の中心に近づくほど音の高さや強さが変化する音響システムを頼りに照準を合わせます。立位や座位のクラスではエアライフルを用いて10m先の標的を狙います。用具と仕組みを知ることで、競技の見どころがさらに広がります。
ミラノ・コルティナ大会においても、射撃でペナルティを抑えられるかどうかがメダル争いの重要ポイントになります。滑走タイムでわずかに及ばなくても、射撃を終えてコースに戻るまでの冷静な判断が、歓喜の瞬間につながります。
~バイアスロンとは
クロスカントリースキーのフリー走法と射撃(伏射)を組み合わせた競技、バイアスロン。2026年のミラノ・コルティナ冬季パラリンピックでは男女別に3種目(7.5km/射撃2回、10km/射撃4回、12.5km/射撃4回)が実施される。射撃で的を外すごとにペナルティが課せられるため、選手たちは満射を狙い、ハイレベルな戦いを繰り広げる。射撃の技術と走力はもちろんのこと、持久力と集中力が求められる過酷な競技だ。~
若き金メダリストと不屈のレジェンドが並び立ちます
日本勢の有力選手の一人が、川除 大輝(かわよけ たいき)選手です。彼は北京2022冬季パラリンピックのパラクロスカントリースキー男子20kmクラシカル(立位)で金メダルを獲得し、国際舞台で上位を狙える力を示しました。
川除選手はパラクロスカントリースキーに加えてパラバイアスロンにも取り組んでおり、滑走と射撃の噛み合わせが整えば、上位争いに加わることが期待されます。さらに、パラノルディックスキーで長年第一線で戦い続けてきた選手として知られるのが、新田 佳浩(にった よしひろ)選手です。
新田選手は冬季パラリンピックに1998年長野から2022年北京まで7大会連続で出場しており、ミラノ・コルティナ2026に出場すれば8大会連続出場となります。
40代半ばになっても国際舞台で戦い続けてきた経験が、チームにとって大きな支えになります。
- 川除選手は北京2022で金メダルを獲得し、世界のトップ争いに加われる実力を示してきました。
- 新田選手は長年の経験を生かし、展開に応じた粘り強いレースで存在感を示してきました。
- 二人が同じチームにいることが、若手の成長と全体の底上げにつながることが期待されます。
川除選手は勢いだけに頼らず、レース運びの精度も高めながら総合力の向上を目指しています。一方の新田選手はベテランとしてチームを支え、経験を生かした安定した戦いで存在感を発揮してきました。世代を超えた二人が同じ舞台で世界のトップ選手と競い合う姿は、見応えのあるシーンになります。
多彩な顔ぶれが揃う日本代表の中堅・若手選手を紹介します
日本代表の中心選手の一人が、佐藤 圭一(さとう けいいち)選手です。クロスカントリースキーとバイアスロンに加えてトライアスロンにも取り組んでおり、冬季パラリンピックはバンクーバー2010、ソチ2014、平昌2018、北京2022に出場しています。北京2022ではバイアスロン男子12.5km(立位)で7位に入りました。
若手・中堅では、座位クラス(LW12)で北京2022に出場した森 宏明(もり ひろあき)選手が名を連ねます。北京2022のクロスカントリースキー混合リレーでは、日本チームの一員として7位入賞に貢献しました。
また、座位クラス(LW12)の源 貴晴(みなもと たかはる)選手は、クロスカントリースキーとバイアスロンの両方に取り組んでおり、日本障害者スキー連盟の選手紹介では目標にパラリンピック出場を掲げています。
女子は、北京2022に出場したクロスカントリースキー立位(LW8)の岩本 美歌(いわもと みか)選手が代表的な存在です。
- 佐藤選手は冬季競技に加えてリオ2016夏季パラリンピックのパラトライアスロンにも出場し、複数競技で経験を積んできました。
- 源選手は2025年のIBUパラバイアスロンワールドカップ(Val di Fiemme)でスプリント・パシュート(座位)10位に入りました。
- 森選手は北京2022のクロスカントリースキー混合リレーに出場し、日本チームは7位に入りました。
選手ごとにクラスや出場種目が異なるため、公式プロフィールで競技名とカテゴリーを確認すると観戦がより分かりやすくなります。
バル・ディ・フィエンメで開催するバイアスロンの日程を紹介します
今大会のバイアスロン競技が行われるのは、テゼーロ・クロスカントリー・スキー・スタジアム(Lago di Tesero)です。
競技日程は、スプリント(7.5km/射撃2回)とインディビデュアル(12.5km/射撃4回)に加えて、スプリントパシュート(同日実施の予選・決勝で争い、各レースは3周/射撃2回)が実施予定です。応援の際は、以下のスケジュールを参考に、時差に気をつけて観戦を楽しみましょう。
| 月日 | 種目 | 距離 |
|---|---|---|
| 3月7日(土) | スプリント | 7.5km |
| 3月8日(日) | インディビデュアル | 12.5km |
| 3月13日(金) | スプリントパシュート | クラスにより2.4~4.2km |
初日のスプリントは、バイアスロン競技の初日(3月7日)に行われます。ここで好位置につけられれば、続く種目に向けて良い流れをつかみやすくなります。特に3月13日のスプリントパシュートは、同日に予選と決勝が行われ、短い距離の中で射撃と滑走の切り替えが続くため、駆け引きがより重要になります。会場の雰囲気とともに、日本勢の滑走と射撃に注目して応援しましょう。
射撃のミスが勝敗を分けるルールを紹介します
バイアスロンを観戦する上で、最も知っておきたいのが射撃のペナルティルールです。射撃を外した場合、一般的には「ペナルティループ」と呼ばれる周回コースを追加で滑らなければなりません。パラバイアスロンでは、スプリントやミドルは座位が100m、立位や視覚障がいが150mのペナルティループが基本となり、スプリントパシュートやチームスプリントでは75mが採用されます。
これにより、トップを走っていた選手が射撃のミス一つで大きく順位を落とす展開が起こります。また、インディビデュアル(個人)種目では、ミス1発につき1分が最終タイムに加算されるルールが適用されます。
このように、いかに速く滑っても射撃で外してしまえば勝利は遠のくため、選手は常に射撃の精度を高めています。
日本勢にとっても、射撃を安定させられるかどうかが重要になります。強風や降雪といった条件でも集中力を保てるかどうかが、大きな分かれ目になります。心拍数を整え、トリガーを引く指先に意識を集中させる緊張感が、観る人を惹きつけます。
今回のミラノ・コルティナ大会でも、最終射撃を終えてコースに戻る選手の表情に注目してください。全弾命中させた瞬間の気迫は、応援する私たちに大きな感動を与えてくれます。
まとめ
ミラノ・コルティナ大会のバイアスロンは、日本代表の団結力と磨き抜かれた技術が試される舞台です。過酷な環境で繰り広げられる「静と動」のコントラストが、観る者の心を強く揺さぶります。
極限の集中力で標的を射抜く選手たちの姿は、まさにパラスポーツの真骨頂です。イタリアの雪原で刻まれる歴史的な瞬間を、ぜひ皆さんも一丸となって熱く応援しましょう。
あとがき
パラバイアスロンという競技は、ただの「スポーツ」を超えた人間ドラマそのものだと感じます。
心臓が飛び出しそうなほどの激動から、針の穴を通すような静寂へ。その凄まじいギャップを乗り越える選手たちの精神力には、驚きを通り越して深い尊敬の念を抱かざるを得ません。
この記事をきっかけに、皆さんがテレビの前で選手たちの名前を呼ぶ日が来ることを、私も一人のファンとして心から楽しみにしています。


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