ファミリーバドミントンは、「子どもから高齢者まで、いつでも、いつまでも、気軽に楽しめるスポーツを」という願いから考案されました。ルールや用具が工夫されているため、運動経験や体力に自信のない人、そして障がいのある人でも参加しやすいことが最大の特長です。地域や家族の絆を深める新しいスポーツとして、全国的に広がりを見せています。その誕生の経緯から、魅力、そしてルールまでを詳しく解説します。
ファミリーバドミントン誕生の背景とその理念
ファミリーバドミントンは、昭和63年に京都で開催された国体のバドミントン競技会場地であった京都府長岡京市で考案されました。
バドミントンが持つスピード性や技術的な難しさから、「広い年齢層で気軽に親しむのは難しい」という声があったことが開発の大きなきっかけとなったようです。
日本の遊びの原点ともいえる羽根つき遊びとバドミントンをミックスさせるという提案がなされ、独自の新しいスポーツとして形作られていきました。
開発の背景には、世代を超えて楽しめる機会の創出と、健康・体力つくりへの貢献という理念が深く根ざしていると考えられます。
バドミントンを「誰もが楽しめる」形へアレンジ
バドミントンの技術的なハードルを下げるための工夫は、多岐にわたります。例えば、ラケットのシャフトを短くすることで、手のひらで打つような感覚でシャトルを打ちやすくなっています。
また、シャトル自体も最初はトスバッティング用のスポンジボールにナイロンコックをつけたものが採用されました。
このシャトルは滞空時間が長くなることで、空振りが減り、ラリーが続きやすいという効果が生まれます。
これにより、バドミントン経験がない人でも、シャトルを打ち返す喜びをすぐに感じられるようになります。
これらの用具とルールの手軽さこそが、ファミリーバドミントンが目指した「誰もが手軽にできるスポーツ」の実現に繋がったと考えられます。
誰でも気軽に楽しめる!ファミリーバドミントンの用具と特徴
ファミリーバドミントンの最大の特徴は、その手軽さとアクセスの良さにあるといえるでしょう。
用具は、シャフトが短い専用ラケットと、スポンジのボールに合成の羽根がついたシャトルが使用されます。
これらの用具は、ミズノ株式会社の協力により商品化され、今では全国のスポーツ用品店で取り寄せて購入できるようになってます。
この手軽さが、安い費用で始められるという利点も生み出しています。また、バドミントンコートを使用するため、ほとんどの体育館で特別な準備をすることなくプレーできる点も大きな特徴です。
特別な施設を必要としないため、地域の体育館や学校の体育施設などを利用して、いつでも、どこでも楽しむことが可能になっています。
世代や障がいをこえて一緒に楽しめる理由
ファミリーバドミントンが障がいのある人や高齢者を含めた多様な人々に受け入れられているのは、誰でも一緒に楽しめるように工夫されているからです。
通常のバドミントンに比べ、動きのスピードや激しさが抑えられているため、体力的な負担が少ないと考えられます。
この低負担性により、運動機能に制限がある人でも、安全に参加しやすい環境が提供されているといえるでしょう。
また、技術的な難易度が低いため、経験の有無に関わらず、参加者全員が公平に楽しめるという点も魅力です。
仲間との交流や家族とのふれあいを目的として、様々な人が同じ空間でスポーツを楽しむことができるのです。
体力の差をカバーするルール設計と競技の多様性
ファミリーバドミントンでは、いくつか特徴的な反則ルールが設けられています。例えば、スマッシュやドリブル(連続してボールを打つこと)、オーバータイムス(ボールを3回以上打つこと)などが禁止されています。
これらのルールは、特定のプレイヤーが過度に優位になることを防ぎ、チームプレイとラリーの継続を促すためにあると考えられます。
特にスマッシュ禁止は、スピードによる体力の差をカバーし、誰もが楽しめる競技性を保つ上で非常に重要な要素だといえるでしょう。
また、3人制で行われ、3人全員が連携し、役割分担をすることで、技術や体力の差をチーム力で補うことが求められます。
このルール設計が、年齢や障がいの有無といった多様な背景を持つ人々が、協力しながらスポーツを楽しむことを可能にしているのです。
競技としての広がりと日本ファミリーバドミントン協会の役割
長岡京市で誕生したファミリーバドミントンは、開発当初の予想をはるかに上回る人々に楽しまれ、全国的な広がりを見せています。
この普及を支えているのが、日本ファミリーバドミントン協会の活動です。同協会は、ファミリーバドミントン開発後15年目にあたる平成13年度に設立準備委員会を立ち上げ、2年間の検討期間を経て平成15年11月22日に設立されています。
協会の設立には、長岡京市教育委員会や財団法人長岡京市体育協会、長岡京市体育指導委員協議会など、地域の複数の組織が関与しています。
これは、このスポーツが地域密着型の理念に基づいて発展してきたことを示唆しているといえるでしょう。
全国的な広がりを大切にし、愛好者の支援と普及を目指すという設立目的のもと、様々な活動が行われています。
全国大会の開催とルールの標準化
日本ファミリーバドミントン協会の重要な役割の一つが、全国大会の開催です。全国各地の愛好者が一堂に会し、交流を深める場を提供することは、競技のモチベーションを高め、全国的なコミュニティを形成する上で不可欠だといえます。
競技としての魅力を高め、愛好者にとっての目標を提供しているのかもしれません。
また、ルールの標準化も重要な活動の一つです。地域によって細かなローカルルールが存在すると、全国的な交流や大会の公平性を保つことが難しくなる場合があります。
協会がルールの統一を図ることで、どの地域でプレーしても同じルールで楽しめる環境が整備され、より多くの人が気軽に参加しやすくなっていると考えられます。
地域の交流拠点に!ファミリーバドミントンの始め方と場所
ファミリーバドミントンは、その手軽さから、地域の総合型地域スポーツクラブのプログラムにも取り入れられ、楽しまれている場所が多くなってきています。
総合型地域スポーツクラブは、地域住民が主体となり、様々なスポーツや文化活動を提供することで、世代を超えた交流や健康増進を目的とした組織です。
このスポーツクラブの理念と、ファミリーバドミントンの「誰もが楽しめる」という特性は、非常に親和性が高いといえるでしょう。
始めるにあたって、特別な高額な用具は必要ありません。ラケットとシャトルがあれば、既存のバドミントンコートでプレーできるため、初期費用を抑えられる点も大きなメリットです。
地域の体育館や、公民館などで開催されている体験会や教室に参加してみるのが、最も手軽な始め方かもしれません。
地域の世代を超えた人々と一緒にファミリーバドミントンを楽しむことが、新しいコミュニティへの参加の第一歩となるでしょう。
総合型地域スポーツクラブでの普及
ファミリーバドミントンが総合型地域スポーツクラブで普及している背景には、幅広い世代の人々が楽しめるという特性が大きく関わっていると考えられます。
そのため、スポーツクラブが目指す「誰もがいつでも参加できる」環境づくりに最適なツールだといえるでしょう。
クラブでは、競技志向ではなく、健康・体力つくりや交流を目的とした活動が中心となることが多いようです。
ファミリーバドミントンは、仲間との交流や、家族とのふれあいといった社会的な目的で楽しまれることも多く、地域の絆を深める重要な役割を果たしているといえるでしょう。
地域の広報や、体育館の掲示板などで情報を探してみると、近くのクラブ活動が見つかる可能性があるかもしれません。
まとめ
ファミリーバドミントンは、子どもから大人、お年寄りまで、みんなが一緒に楽しめるように作られたスポーツです。
ラケットやシャトルに工夫があり、スマッシュも禁止なので、初めての人や運動が苦手な人でもラリーが続きやすくなっています。このおかげで、多様な人が参加しやすいスポーツとして全国に広まりました。
地域の体育館などで安く始められ、家族や仲間との交流、健康づくりに役立ちます。日本ファミリーバドミントン協会がルールを決めたり大会を開いたりして、このスポーツを支えています。
あとがき
ファミリーバドミントンの魅力と、なぜこのスポーツが年齢や体の状態に関係なく楽しめるのかをご紹介しました。
特別な技術や体力が必要ないからこそ、家族や地域の人々との交流が深まります。体育館で手軽に始められるファミリーバドミントンを通じて、ぜひ新しいコミュニティや健康づくりのきっかけを見つけてみてください。
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