身体障害者でも空手はできる!パラ空手の魅力と始め方

障がい者支援
※画像はイメージです。

身体障害があっても空手なんてできるのかな、そんな疑問を持つ方は多いでしょう。車椅子の方や視覚障害の方々も、空手を楽しむことができます。科学的研究では筋力が向上し、心の面でも自信を取り戻す人がいます。この記事を最後まで読むことで、あなたや身近な人が新しい挑戦を始めるきっかけが見つかるでしょう。

身体障害があっても空手はできる?その効果とは

多くの人が「障害があると運動は難しい」と諦めがちです。でも実際はどうなのでしょうか。

空手が身体障害者に与える効果

【身体的効果】

車椅子で武道を練習している人たちを調べた研究では、骨の強さや座ったときのバランス、自尊心について健常者と同じレベルの結果が得られました。この研究は9名の車椅子武道実践者と28名の健常者を比較したものです。

空手の練習では全身の筋肉を使うため、バランス感覚や素早さ、体の動きの連携を良くする効果があります。同じ動作を何度も繰り返すことで、とっさの時の反応が身につき、反応が早くなることも期待できます。

練習を続けることで、体の安定性や動作の流れもだんだん良くなっていきます。

【精神的効果】

空手を続けることで自信が身につき、ストレスが軽減されます。集中力や規律も向上し、目標に向かって努力する意欲が高まります。空手の型には多くの動きが含まれており、それらに集中することで注意力や集中力が高まります。

また、空手では「礼儀を重んじる」「忍耐強く取り組む」「向上心を持つ」という精神を学べます。一人ひとりが自分のペースで練習できるため、少しずつ上達していく実感が自信につながるでしょう。

空手の段位が上がることで達成感を味わい、やる気も向上すると考えられています。

みんなで一緒に練習できる空手の魅力

空手道場では、体に障害があってもなくても、みんなが仲間として練習しています。日本空手松涛連盟では「誰でも無理なく空手ができる」という考えを大切にしています。技を覚えるだけでなく心も鍛えることで、心身が強くなるでしょう。

車椅子の人も、動く部分を使って空手を楽しめます。練習を続けると自信がつき、体も心も元気になります。心も豊かになり、周りの人を助けたい気持ちも育つでしょう。空手は個人競技でありながら、仲間との絆も深められる素晴らしいスポーツです。

パラ空手ってどんな競技?

パラ空手という正式な競技があることをご存知でしたか?パラ空手は、世界レベルで発展している競技です。

パラ空手の歴史と発展

パラ空手は2012年のパリ世界選手権で初めて紹介された新しい競技です。2015年に正式な競技として認められました。パラ空手では「形」という一人で行う演武を競います。戦うのではなく、力強さやスピード、美しさを表現するのです。

どんなルールで競技するの?

パラ空手は障害の種類によって3つのカテゴリーに分かれています。K10は視覚障害者、K21は知的障害者、K30は下肢身体障害が対象となります。

国際パラ空手では「形(型)」のみですが、日本の全日本パラ空手道競技大会では「形」と「組手」の両方が実施されています。

競技では審査員がお辞儀から始まりお辞儀で終わるまでを見て採点します。審判が技術や表現力を5.0-10.0の範囲で0.1刻みで評価していきます。

全盲の選手はアイマスクを着用して同じ条件で競技し、聴覚障害者には視覚的な合図システムが用意されています。

日本ではどんな活動をしている?

毎年開催される「全日本パラ空手道競技大会」では、知的・聴覚・視覚・身体障害の選手が参加しています。2024年の第20回大会は東京武道館で行われ、大きな盛り上がりを見せました。

この大会は、選手たちにとって日頃の練習成果を発揮する重要な舞台となっています。

2025年11月には東京デフリンピックが開催され、空手も21競技の一つとして実施されます。耳の聞こえない選手たちが世界中から集まり、日本で初めてのデフリンピックとなります。

この大会により聴覚障害者の空手がさらに注目されるでしょう。

空手を始めるには?

「興味はあるけど、どこから始めればいいの?」そんな疑問にお答えします。

どんな練習をするの?

日本には障害者向けの空手道場があり、車椅子利用者向けには上半身中心の技術指導が行われています。視覚障害者には音や触覚を活用した指導が行われており、それぞれの特性に合わせた練習方法が工夫されています。

道場の数は地域によって異なります。初心者は基本的な礼儀作法や挨拶、正座の仕方、道着の着方から学びます。簡単な型から段階的に技術を向上させていき、無理せず自分のペースで進められます。

指導者は一人ひとりの状況を理解し、適切なサポートを提供してくれます。

安全に練習するために

空手に限らず障害者スポーツを行う場合、施設で安全な活動ができるように準備しましょう。

AEDや救急用品の準備、避難口等の確認、用具の故障の有無や突起物の有無や緊急時対応マニュアルなどの確認が大切です。スポーツ保険への加入も必要です。

指導者は救急時の対応方法を身につけ、練習前のウォーミングアップ等で怪我を防ぎましょう。

個人の障害の種類や程度、身体機能の情報を事前に確認し、お互いに信頼関係を築きながら指導を行います。一方的ではなく、指導対象者の気持ちを大切にした双方向のコミュニケーションを心がける必要があります。

家族や介助者など周囲の方とのコミュニケーションを取ることも大切でしょう。

指導の際は不適切な言動や身体への接触を避け、必要な場合は事前に説明し、承諾を得る必要があります。

障害者空手ではどんなサポートが受けられる?

「お金の面が心配、サポートはあるの?」そんな不安を解消する情報をお届けします。

どこがサポートしてくれる?

公益財団法人全日本空手道連盟が、パラ空手の統括組織として強力にサポートしています。パラ空手の普及に力を入れていて、指導者養成や大会運営を通じて競技の発展に貢献しています。

公益財団法人日本パラスポーツ協会では6種類の指導者資格を提供しています。

日本スポーツ振興センターのくじ助成により、スポーツ活動費用の一部が支援される制度があります。地方自治体の独自助成制度もあり、参加費や道着代の補助を受けられる場合があります。これは地域によって異なります。

TEAM BEYOND参加企業では、それぞれの会社が得意なことを活かしてパラスポーツを応援しています。

パラ空手を広める取り組み

メディアを通じた積極的な情報発信も活発に行われています。TOKYOパラスポーツチャンネルでは、パラ空手の魅力を動画で分かりやすく紹介しています。

選手が実際に語る体験談や、技の美しさを解説する映像を通じて、パラ空手の素晴らしさを多くの人に伝えています。

他の障害者スポーツとも連携して展開されています。パラリンピック種目との合同イベントや総合スポーツフェスティバルへの参加により、相乗効果を生み出しています。

SNSでの情報発信も急速に拡大しており、若い世代への普及も期待されています。

身体障害者が空手を通じて得た成功事例と体験談

「空手に本当に効果があるの?」そんな疑問に答える感動的な実例をご紹介します。

実際の成功事例の紹介

視覚障害者の大庭康資選手は、全日本大会で選手宣誓という名誉ある役割を務めました。22歳頃に網膜剥離で全盲となりましたが、空手への情熱を燃やし続けています。全盲でありながら美しい型を披露する姿は、多くの観客に深い感動を与えています。

車椅子空手の加藤咲子選手は、小学1年生から空手を始めました。大学時代に筋ジストロフィーを発症し15年のブランクを経て車椅子空手で復帰しました。第15回全日本障がい者空手道競技大会では形・組手のダブル優勝を果たしました。

現在は学校法人大阪学芸の職員として働きながら、競技を続けています。「大好きな空手を始めたことで歩ける距離が伸び、体力も維持できている。車椅子空手を始めてからは本当に大きく人生が変わりました」と話しています。

同じように障害を持ちながらも、空手で輝いている人たちがいます。彼らの笑顔を見ていると、きっとあなたも前向きな気持ちになれるでしょう。

まとめ

身体に障害があっても、空手は十分に楽しめる魅力的なスポーツだということがお分かりいただけたでしょう。科学的に効果が実証されており、心身の健康向上に大きく貢献してくれます。

日本には支援体制が整っており、安心してスタートできる環境が用意されています。

数多くの成功事例が示すように、空手はあなたの人生を豊かにしてくれる最高の武道です。勇気をもって一歩踏み出し、「空手」に挑戦してみませんか?今まで感じたことのない新しい体験が得られると思います。

筆者のあとがき

以前、空手を習ったことがありますが、その道場では障害を持っている方はいらっしゃいませんでした。私はこの記事を書きながら、パラ空手選手たちの強い意志と絶え間ない努力に心から感動しました。

空手の型の美しさ、技に込められた精神力の深さを知っているからこそ、パラ空手選手たちの素晴らしさがより一層深く伝わってきます。

障害という困難を乗り越えて挑戦し続ける姿は、本当に多くの人に勇気と希望を与えてくれるでしょう。

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