将棋はルールが難しそうだと感じている方におすすめなのが、可愛いイラストで直感的に遊べる「どうぶつしょうぎ」です。元女流棋士の北尾まどかさんが考案したこのゲームは、わずか12マスの盤面ながら将棋の面白さがぎゅっと詰まっており、子どもから大人まで真剣に楽しめます。本記事では、基本ルールから勝つためのコツ、そして将棋の入り口としての魅力を解説します。
3×4の盤面に広がる奥深い戦略の世界
どうぶつしょうぎは、北尾まどかさんがルールを考案し、藤田麻衣子さんがイラスト・デザインを手がけた、3×4の盤と8枚の駒で遊ぶミニ将棋です。一般的な将棋が9×9の81マスであるのに対し、どうぶつしょうぎはわずか3×4の12マスで遊ぶため、小さな世界の中に将棋の面白さが凝縮されています。
駒の種類と動かし方の基本
登場する駒は「ライオン」「ぞう」「きりん」「ひよこ」の4種類です。それぞれの駒には動ける方向に点がついているため、漢字を覚えなくても見ただけで動かし方を理解しやすくなっています。ひよこが相手の一番奥のマスに進むと「にわとり」になり、斜め後ろ以外の6方向に動けるようになります。
- ライオンは前後左右斜めの8方向に1マス動ける、王の役割を持つ駒です。
- ぞうは斜め4方向に1マス動け、きりんは前後左右の4方向に1マス動けます。
- ひよこは前に1マス進み、相手の一番奥のマスに入ると成って、にわとりになります。
駒の動きがシンプルだからこそ、一手の重みが大きくなります。盤面が狭いため、序盤から読み合いが生まれやすく、短時間でも濃い駆け引きを楽しめます。公式では4歳以上が対象年齢とされており、子どもから大人まで幅広い世代が戦略性を味わえる点も魅力です。
~みなさんは将棋についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。やってみたいとは思うけれど難しそう、いざやってみたけれど複雑だった、そんなイメージではないでしょうか。もっと簡単に手軽に遊べたらいいのに、そう思われている方も少なくないと思います。そんなあなたにおすすめしたいボードゲーム「どうぶつしょうぎ」を、今回は紹介させていただきます。~
勝利を掴むための2つのルートとルール
どうぶつしょうぎの勝利条件は、大きく分けて2つあります。一つは相手のライオンを捕まえる「キャッチ」、もう一つは自分のライオンが相手の陣地の最深部に入り、そのまま次の相手の手で取られないトライです。通常の将棋にはないこのルールがあることで、攻めと守りのバランスに幅が生まれます。
キャッチとトライの戦略的違い
「キャッチ」は相手の逃げ道を塞いで追い詰める、将棋本来の醍醐味です。一方で「トライ」は、隙を見て一気に敵陣へ駆け込むスピード感が求められます。相手のライオンを捕まえようと夢中になっている間に、自分の背後を突かれてトライを許してしまう展開も多く、常に盤面全体を見渡す視野が必要になります。
| 勝利条件 | 内容 | 戦略のポイント |
|---|---|---|
| キャッチ | 相手のライオンを取る | 駒を協力させて逃げ道を塞ぐ |
| トライ | 敵陣1段目に自分のライオンが入り、次の相手の手でも取られない | 相手の駒の利きを見ながら安全に進む |
取った駒を自分の持ち駒として空いている場所に打てるというルールは、通常の将棋と同じです。持ち駒をどこに再配置するかで、一気に形勢が逆転することもあります。取った駒を再利用する仕組みがあることで、局面に大きな変化が生まれます。ルールは簡単ですが、常に2つの勝利条件を意識しなければならないため、高い集中力が養われるでしょう。
「4歳でも楽しめるように」考案者・北尾まどかの想い
元女流棋士の北尾まどかさんは、将棋の楽しさをもっと多くの人、とくに小さな子どもたちに伝えたいという思いから「どうぶつしょうぎ」を考案しました。漢字を覚える前の子どもでも遊べるように、駒の数を減らし、盤を小さくし、誰でもすぐに始められるシンプルなルールになるよう工夫が施されています。
制作で最も苦労したのは、「わかりやすさ」と「ゲームとしての奥深さ」の両立でした。シンプルにしすぎると先手必勝になってしまい、複雑にすると子どもが楽しみにくくなります。何度も試行錯誤と検証を重ね、バランスを整えていきました。子どもたちが笑顔で「楽しい! もう一回!」と繰り返し対局してくれる瞬間に、作ってよかったと実感しているそうです。
将棋ファンの方も、これから将棋に触れる方も、まずは身近な人に気軽に教えてみてください。簡単そうに見えて奥が深い「どうぶつしょうぎ」は、大人から子どもまで楽しめる将棋の入り口です。
視覚障がいのある方へ広がった可能性とクラウドファンディングの取り組み
どうぶつしょうぎは、子ども向けの入門将棋として誕生しましたが、その可能性はさらに広がっています。2025年には、視覚障がいのある方も一緒に遊べる仕様の「どうぶつしょうぎ」を制作するクラウドファンディングが実施され、のちに商品化へとつながりました。
以前は点字版も制作されていましたが、企画者の説明では当時すでに完売しており、入手しにくい状態でした。そうした背景を受けて、凹凸加工を取り入れた「デコどうぶつしょうぎ」という取り組みが企画されました。
このプロジェクトでは、駒にラインストーンで凹凸をつけ、触覚でも種類や向きを判別しやすくするとともに、ボードと駒がずれにくいよう面ファスナーを使う工夫が取り入れられました。見た目の楽しさも大切にしながら、共遊を意識した仕様になっています。
- ラインストーンの凹凸によって、触れて駒の種類や向きを判別しやすくした設計です。
- 単なるバリアフリーにとどまらず、見ても楽しめるデザインを目指した取り組みです。
- 制作は岐阜県の就労継続支援B型事業所Green birdが担当し、働く人の自立支援にもつながる形で進められました。
- クラウドファンディングでは、視覚障がい関連の教育機関や支援団体への寄贈募集が案内され、あわせて常設商品として販売する方針も示されました。
将棋は盤上の位置関係を読み取る要素が大きいゲームですが、どうぶつしょうぎの「駒が少ない」「盤面が小さい」という特性は、触れて把握する工夫とも相性がよいと考えられます。
クラウドファンディングは終了しましたが、その後は販売やワークショップにもつながっており、この取り組みは、より多くの人が将棋を楽しめる可能性を示した事例のひとつといえるでしょう。シンプルなゲームだからこそ、工夫次第でさまざまな人が一緒に楽しめます。どうぶつしょうぎには、そんな広がりの可能性があります。
短時間でも白熱する!大人も夢中になるどうぶつしょうぎ
どうぶつしょうぎは、大人が本気で対局しても1局あたり約5分が目安とされており、短い休憩時間やホームパーティーでのちょっとした盛り上がりの場としても向いています。
一見すると運要素がありそうに見えますが、どうぶつしょうぎは完全情報ゲームであり、盤面と持ち駒の情報はすべて公開されています。そのため、限られたマスの中でも論理的な読み合いが楽しめるゲームです。
これから将棋を始めたいという方も、過去に挫折してしまった方も、ぜひ一度「どうぶつしょうぎ」を手に取ってみてください。そこには、奥深い思考の世界が広がっています。友達や家族を誘って、まずは一局、ライオンを追いかける楽しさを分かち合ってみませんか。
まとめ
どうぶつしょうぎは、北尾まどかさんの思いから生まれた、将棋の面白さをやさしく体験できる入門ゲームです。3×4の小さな盤面と4種類の駒だけで遊べるため、子どもでも始めやすく、大人も奥深い読み合いを楽しめます。
キャッチとトライという2つの勝ち方や、取った駒を再利用できるルールによって短時間でも白熱し、さらに視覚障がいのある方も一緒に楽しめる工夫が広がっている点も魅力です。
あとがき
どうぶつしょうぎは、将棋の難しさをやわらかくほどきながら、本質的な面白さへと導いてくれるゲームです。駒の数や盤面は小さくても、そこに広がる思考の世界は決して小さくありません。一手に悩み、ひらめき、相手と向き合う時間は、子どもにとっても大人にとってもかけがえのない体験になるでしょう。
また、過去には視覚に頼らず楽しめる仕様が模索されるなど、だれかの「やってみたい」を形にする挑戦も行われてきました。遊びの枠を超え、人と人をつなぐ存在へと広がってきた点も、このゲームの大きな魅力のひとつです。
将棋は難しそう、そんなイメージを持っている方こそ、ぜひ一度手に取ってみてください。小さな盤面の上でライオンを追いかけるうちに、きっと夢中になる瞬間が訪れるはずです。そこから本将棋へと世界を広げていくのも、また楽しい一歩になるでしょう。はじめの一局が、新しい楽しみとの出会いになりますように。


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