ペースメーカーICDとスポーツの両立!禁止の運動と安全な歩み

障がい者スポーツ支援
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ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)を植え込んだ後でも、正しい知識があればスポーツを楽しめます。しかし、デバイスへの衝撃や誤作動を防ぐためには、避けるべき種目や運動強度の基準を知ることが重要です。安全に体を動かすことは、健康維持や前向きな生活にもつながります。本記事では、禁止されている運動の具体例や全年齢の方が無理なく続けられるスポーツの目安について解説します。

術後のスポーツ再開時期と運動強度の考え方

ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)の植込み手術を終えた直後は、早期の社会復帰を目指したいという気持ちが先走るものですが、決して焦って激しい運動を始めてはいけません。

一般的に、手術部位の皮膚の傷口が完全に塞がり、心臓内に留置されたリード(電線)が組織にしっかりと固定・安定するまでには、最低でも約1ヶ月から3ヶ月という慎重な経過観察期間が必要とされているからです。

特に術後初期の数週間は、腕を肩より高く上げる動作や、重い荷物を持ち上げるような動作は、リードのズレ(脱落)や断線を招く恐れがあるため、日常生活においても細心の注意を払うよう厳格に指導されるのが一般的です。

リハビリの一環として軽いストレッチを行う際も、術側の肩周りに過度な負担がかからないよう、専門スタッフの指示に従いましょう。

スポーツを再開するタイミングや強度は、外傷の治り具合だけでなく、患者様ご自身の元の心疾患の重症度や体力、年齢、そしてデバイスの設定値によっても大きく異なります。

ご自身の判断だけで運動を始めるのではなく、まずは定期検診などの機会に主治医へ相談してみてはいかがでしょうか。

メッツ(運動強度)といった具体的な指標を参考にしながら、ご自分に合った「安心できる無理のない運動量」を一緒に確認していくことから始めてみるのも、一つの良い方法です。

心臓への過剰な負荷や、デバイスの予期せぬ作動を防ぎ、安全に運動習慣を身につけるための目安として、以下のセルフチェックポイントを常に意識することが非常に大切です。

  • 隣の人と笑顔で会話ができる程度の強さを基準にする。
  • 少し汗ばむくらいの負荷にとどめ、息切れがひどい場合はすぐに休む。
  • 医師の指示がある場合は、脈拍計などを使い目標心拍数を守る。

いきなり長時間走るのではなく、まずは家の中や近所の散歩から段階的に進めてください。体が慣れてきたら、全国どこの公園でも手軽にできるウォーキングなどが推奨されます。

自分の体調を何より大切に考え、日々の小さな変化に目を向けていくことが、安全にスポーツを長く楽しむための一つの近道になるかもしれません。

~手術後1~3ヶ月経過し、順調に体調が回復すれば、同年代の方がしているほとんどのスポーツができます。ただし、運動の種類によっては、ペースメーカー本体にダメージを与えたり、リードが移動したり損傷したりする原因となることがあります。医師に相談のうえ、どの程度の運動であればよいか確認してください。~

社会医療法人 高清会 高井病院

デバイス故障を防ぐために禁止されるスポーツ種目

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スポーツを楽しむ際、最も気をつけなければならないのが、植え込んだデバイス本体やリードへの外部からの強い衝撃です。

デバイスは皮膚のすぐ下に置かれているため、激しいぶつかり合いがある種目は、機器の破損やリードの断線を招く危険があります。そのため、特定の種目は原則として禁止、あるいは強い制限が設けられています。

具体的にどのような種目がハイリスクとされるのか、以下の表にまとめました。

カテゴリー具体的な種目リスクの原因
格闘技柔道、空手、ボクシング打撃や投げ技による直接的な衝撃
コンタクトスポーツラグビー、アメフト、相撲激しい衝突によるデバイスの破損
腕・肩を酷使する競技器械体操、激しい投擲競技リードのズレや断線の可能性

これらのスポーツは、一度の衝撃で命に関わるデバイスの不作動を引き起こす可能性があるため、基本的には控えましょう。

また、野球やサッカーなどでも、ボールが胸に当たるリスクがある場合は、プロテクターの装着やポジションの工夫が必要です。遊びの範囲であっても、不意の衝突が起こりうる環境には注意を払わなければなりません。

ICD(植込み型除細動器)使用者の特別な注意点

ICDを使用している方は、ペースメーカー使用者よりもさらに慎重な運動管理が求められます。

ICDは命に関わる不整脈を検知して電気ショックを送る装置ですが、運動によって心拍数が上がりすぎると、装置が「危険な不整脈」と誤認して作動してしまう(適切でない作動)リスクがあるためです。

運動中に予期せぬ電気ショックを受けると、驚いて転倒したり、精神的なショックを受けたりすることもあります。安全を確保するために、以下のルールを守りましょう。

  • 設定されている「作動心拍数」を事前に医師へ確認しておく。
  • 心拍数が上がりやすい階段の上りや、急なダッシュは避ける。
  • 万が一作動した際、周囲に助けを呼べる環境で運動を行う。

厚生労働省の資料においても、デバイス使用者の安全性について注意が促されています。

特にICDの方は、一人での激しい登山や水泳など、意識を失った際に救助が困難になる状況での運動は極めて危険です。

家族や友人と一緒に取り組むか、管理された施設で見守りがある状態で体を動かすのが理想的です。自分のデバイスの設定を理解することが、誤作動を防ぐ最大の防御となります。

運動環境における電磁波や磁気のトラブル回避

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屋外やスポーツジムで活動する際、目に見えない「電磁波」や「磁気」がデバイスに影響を与える可能性を忘れてはいけません。

最新の機器は対策が進んでいますが、それでも強力な磁場を発生するものの近くでは、一時的にデバイスのプログラムが書き換わったり、作動が停止したりする恐れがあります。

スポーツシーンに関連する注意すべきポイントは以下の通りです。

  • ゴルフカートや電動バイクのエンジン部に胸を近づけすぎない。
  • スポーツ施設にある低周波治療器や磁気ネックレスの使用は控える。
  • 盗難防止ゲート(店舗の出入り口など)は立ち止まらずに通り過ぎる。

また、スマートウォッチなどのウェアラブル端末は、デバイスを植え込んだ部位から15cm以上離して装着すれば、基本的には問題ないとされています。

ただし、充電器や本体に強力な磁石が含まれているタイプもあるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。

もし運動中に「めまい」や「激しい動悸」を感じたら、すぐにその場所から離れてください。環境から離れることでデバイスが正常に戻ることも多いですが、念のため早めに病院を受診することが推奨されます。公的機関からも注意喚起がなされています。

男女問わず推奨される「無理しない」運動習慣

デバイスとの生活において、スポーツの目的は「記録」ではなく「健康維持」に置くのがベストです。

激しい競争を伴うスポーツよりも、自分のペースで行える運動が、男女・年齢を問わず推奨されます。最も安全で効果的なのは、全身をバランスよく使う有酸素運動です。

以下の運動は、衝撃が少なく管理しやすいため、多くの専門家からおすすめされています。

  • ウォーキング:膝への負担も少なく、最も安全に始められます。
  • 水中ウォーキング:浮力があるため心臓への急激な負荷が抑えられます。
  • 軽いサイクリング:平坦な道を選べば、心拍数を一定に保ちやすいです。

運動を長く続けるコツは、体調管理ノートをつけることです。その日の血圧、脈拍、運動後の疲労感を記録しておけば、次回の診察時に医師へ正確な情報を伝えられます。

これにより、よりあなたに合った運動のパーソナルなアドバイスがもらえるようになります。

「デバイスがあるから何もできない」と悲観する必要はありません。むしろ、デバイスがあなたの心臓を24時間守ってくれているからこそ、安心して一歩を踏み出せるのです。

「無理をしない勇気」を持って、心身ともに健やかな毎日を目指していきましょう。

まとめ

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術後の経過が順調で医師の許可があれば、無理のない範囲でスポーツを楽しめます。激しい接触のある競技は避け、ICD使用者は心拍数が上がりすぎない負荷を意識しましょう。

電磁波に注意しつつウォーキング等の有酸素運動を習慣化し、心肺機能の維持を図ります。常に主治医と相談しながら、安全を最優先にアクティブな生活を送りましょう。

あとがき

手術後の不安は当然ですが、デバイスは活動を縛る鎖ではなく、安心のための伴走者です。激しい接触は避けつつ、隣の人と笑い合えるペースで「動く喜び」を再発見しましょう。

大切なのは自分の心臓の声に耳を傾け、主治医と共に一歩ずつ進んでいく勇気です。デバイスと手を取り合い、あなたらしいアクティブな日常を築けるよう応援しています。

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