企業の社会的責任として、「パラスポーツへの支援」は非常に有効です。とはいえ、何から始めればいいのか迷うCSR担当者の方も多いはず。本記事では、パラスポーツの基礎から企業ができる支援方法まで、楽しくわかりやすく紹介します。
第1章:そもそもCSRって?企業が“社会のご近所さん”になる話
CSRとは“企業が社会の一員として責任を果たすこと”です。でも、難しい話ばかりではありません。まずは気軽に「CSRってこういうものか」と肩の力を抜いて読んでみてください。
CSR(企業の社会的責任)ってどんな考え方?
CSRとは、企業が利益を追求するだけでなく、社会・環境・地域に対しても責任を持とうという取り組みの総称です。
昔は「良いイメージづくり」の延長線と考えられがちでしたが、今では企業価値そのものを支える“必須の活動”として位置づけられています。
「利益だけ追えばいい時代じゃない」その背景
社会課題が複雑化し、企業にも「何か役に立ってほしい」という期待が強まっています。消費者の価値観も変わり、「応援したくなる企業」を選ぶ時代となりました。
つまり、CSRは企業が社会と仲良く暮らすための“ご近所付き合い”のような取り組みなのです。
CSRが重視される理由とは?
環境問題や人的資本、地域社会との関係性など、現代社会において企業が関わる領域は広くなっています。株主や社員、顧客といったステークホルダーの期待もあり、CSRへの取り組みは企業の信頼性にも直結します。
SDGsとCSRの関係
SDGsは世界共通の目標で、CSRと相性は抜群です。「社会のため」と「ビジネスとしての成長」を両立させる指標として活用しやすく、取り組みの幅も非常に広いのが特徴です。
CSRはもはや“ちょっと良いことする係”ではなく、企業活動と一体化して進める時代になっています。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」という意味です。
「持続可能」とは、将来の世代のために地球環境や資源を守り、今の状態を維持できることを指しています。
2015年の国連サミットで採択されたSDGsには、2030年までに達成すべき17の目標が掲げられており、日本でも多くの法人・企業が本格的にSDGsに取り組み始めています。
第2章:パラスポーツとは?障がいのあるアスリートが見せる“もう一つの躍動”
パラスポーツには、身体機能に障がいのある選手たちの工夫と情熱が詰まっています。ルールや競技特性もユニークで、知れば知るほど企業が関わる価値が見えてくる分野です。
パラスポーツの基礎知識
パラスポーツとは、身体や感覚に障がいのある方が参加するスポーツの総称です。車いすバスケットボールやボッチャ、パラ陸上など、種目は多岐にわたります。どれも競技性が高く、世界中で熱い戦いが繰り広げられています。
多様なルールと独自の工夫
同じ競技でも、障がいの種類や程度によってクラス分けが行われたり、用具が特別仕様になっていたりします。これらの工夫が競技の魅力を引き立て、見ている側にも「なるほど!」と感じさせるポイントになります。
パラリンピックで高まった注目度
近年のパラリンピックの盛り上がりによって、多くの人がパラスポーツの存在や楽しさに触れるようになりました。メディア露出が増えたことで“観るスポーツ”としても人気が高まっています。
可能性の可視化と多様性理解につながる
パラスポーツは、障がいの有無ではなく「人の可能性」を感じさせてくれます。企業が支援することで、多様性理解の促進や共生社会の実現にも貢献できます。次章では、その相性の良さをさらに深掘りします。
第3章:なぜ企業のCSR活動とパラスポーツは相性がいいの?その理由を解説
パラスポーツは“CSRと相性抜群”と言えるでしょう。企業にとってのメリットも多く、CSR担当者が注目している理由がここにあります。
CSR×パラスポーツが注目される背景
社会の価値観が多様化し、障がい者支援や共生社会への関心が高まるなか、パラスポーツは企業が貢献しやすい分野として注目されています。競技団体も企業との協働を望む傾向が強まっており、双方にとってメリットが大きいのです。
共生社会・ダイバーシティとの親和性
パラスポーツは、まさに「多様性を体現する場」です。選手の挑戦や工夫が可視化されるため、企業が掲げるダイバーシティ推進やインクルージョンの理念とも自然に結びつきます。
社員の意識改革やコミュニケーション活性化
パラスポーツへの支援は、社員が「社会貢献を身近に感じる」きっかけにもなるでしょう。応援やボランティアへの参加で社内の一体感が高まり、部署間のコミュニケーションが活発になることも少なくありません。
企業ブランドの向上と信頼醸成
社会課題に真剣に向き合う企業として評価され、ブランド価値の向上につながります。結果として「良いことをしていたら、社員の笑顔も増えた」という嬉しい循環が生まれるのです。
第4章:企業ができるパラスポーツ支援① 資金・物資・技術協力という“目に見える寄り添い”
ここでは、企業が持つリソースを活かした“わかりやすい支援方法”を紹介します。大企業はもちろん、中小企業でも実践可能なものも多いのが特徴です。
企業スポンサーという応援方法
競技団体やチームを支援するスポンサー活動で、もっともわかりやすいサポート方法です。ロゴ掲出など企業メリットもあり、活動内容に応じて柔軟に支援できます。
パラアスリートの雇用支援
企業がパラアスリートを雇用することで、競技活動と仕事を両立できる環境を提供できます。これはCSRとしてだけでなく、採用や社内の多様性推進の面でも価値があります。
競技用機材の提供・技術協力
技術を持つ企業なら、用具開発や改良への協力も重要な役割です。製造業やIT企業など、自社の強みを競技に還元することで、選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境づくりに貢献できます。
物資提供や環境整備のサポート
車いすのメンテナンス、練習場所の整備、備品提供など、あらゆる形の支援が可能です。お金以外の支援が意外と喜ばれることも多く、「実はお金だけじゃないCSR」がたくさんあると気づける分野でもあります。
第5章:企業ができるパラスポーツ支援② イベント協力や参加で広がる“応援の輪”
パラスポーツの支援は、資金や物資だけではありません。企業と社員が「場」に関わることで、社内外に広い“応援の輪”が生まれます。ここでは、コミュニケーションを軸にした取り組みをご紹介します。
大会・地域イベントでの協力参加
パラスポーツ大会や地域の関連イベントでは、企業が協賛したり運営をバックアップしたりと、参加のチャンスが多くあります。会場づくりや来場者サポートを通じて、社員がスポーツの現場に触れられるのも大きな魅力です。
社員ボランティアとしての参加
大会運営の補助や観客案内など、社員がボランティアとして関わることで「会社としての参加感」が高まります。普段の仕事とは違う経験ができ、社内のコミュニケーション活性化にもつながります。
社内でのパラスポーツ体験イベント
ボッチャや車いす体験などを社内で実施すると、多様性理解が一気に加速します。誰でも楽しめるので、部署を越えた“ゆるい一体感”が生まれるのもポイントです。
観戦応援プロジェクトと社内発信
社員で観戦に行ったり、応援メッセージを集めたりする取り組みは、企業文化づくりにも役立ちます。社内報やSNSで発信することで、「応援が企業の価値」として広がる効果も期待できます。
第6章:企業ができるパラスポーツ支援③ 教育・発信・パートナーシップで生む“文化づくり”
CSR活動を継続させるには「文化として根づかせること」が重要です。ここでは、教育・発信・協働の3つの視点からパラスポーツ支援の方法を紹介します。
研修・勉強会で理解を深める
障がいやパラスポーツの基礎を学ぶ研修は、社員の意識改革に効果的です。“知る”ことが行動の第一歩になり、支援に参加しやすくなります。
アスリートを招いた講演会・交流会
パラアスリートの話には、競技に向き合う姿勢や人生観など、心を動かされる要素が多くあります。生の声を聞くことで「支援が自分ごとになる」という変化が生まれます。
企業メディアで積極的に発信
自社サイトやSNS、採用ページなどで支援の取り組みを発信することで、社外への透明性やブランド価値も高まります。CSRの姿勢が企業イメージの強みになるポイントです。
地域団体・NPOと継続的な協働
地域の競技団体やNPOと手を組むことで、中長期的なプロジェクトへ育てることができます。企業単体ではできない活動も、パートナーシップで“続く仕組み”をつくれます。
パラスポーツを通じた取り組みは、社内の空気が自然と明るくなる効果もあります。「文化にすると続く」という視点で、企業らしい支援の形を育てていくことが大切です。
まとめ
パラスポーツ支援は、企業にとって「難しそうに見えて、実はすごく始めやすいCSR」です。資金提供だけでなく、イベント協力、社員参加、教育、発信など、企業規模に合わせて選べる方法がたくさんあります。
また、社員の意識向上や企業文化の形成にもつながり、結果として企業価値の向上にも貢献します。まずはできるところから一歩を踏み出すことが大切です。
無理なく、楽しく、みんながハッピーになる取り組みとして、パラスポーツ支援は企業の未来を明るくする力を持っています。
あとがき
企業がパラスポーツ支援を通して、障がいを抱えている方々と接点を持つことは、社会貢献という意味合いのみならず、企業本来の活動すなわち収益獲得にも繋げられるのではないか、と私は思います。
ハンディキャップを持つ方々との関わりが増えればそのぶん、その方たちにどのような潜在的ニーズがあるのか市場把握にも活かされ、それによって新しい商品やサービスの開発も可能となるでしょう。

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