視覚障害者のためのブラインドゴルフ|未経験から楽しむ始め方ガイド

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「ゴルフをやってみたい」でも、何から始めればいいか分からず、一歩を踏み出せずにいませんか。視覚に頼らなくても、信頼できるパートナーと共にプレーするブラインドゴルフという楽しみ方があります。この記事では、具体的な手順を追って解説します。あなたの「やってみたい」を形にする第一歩を、この記事から踏み出しましょう。

ブラインドゴルフってどんなスポーツ?基本を知ろう

ブラインドゴルフは、パートナーと共に楽しむスポーツです。ここでは、そのプレーの基本となる3つのポイントを解説します。

視覚をサポートする「パートナー」と二人一組でプレー

ブラインドゴルフの最大の特徴は、プレーヤーの「目」の代わりとなり、共にコースを攻略するパートナー(ガイド)と二人一組でプレーする点にあります。このパートナーとの信頼関係こそが、ブラインドゴルフの要と言えるでしょう。

プレーヤーは、パートナーが視覚的な情報を的確に言葉にしてくれることで、目の前のショットに安心して集中できます。目標までの方向や距離、グリーンの傾斜、バンカーや池の位置といったコースの状況を細かく伝えてもらいます。

パートナーは単なる介助者ではなく、大切な相棒です。プレーヤーが構えたときに、クラブのフェースが狙う方向に正しく向いているかを確認し、調整を手伝います。

ルールは普通のゴルフとほぼ同じ!「障害者ゴルフのルール(規則25)」とは

ブラインドゴルフでは、特別なクラブやボールを使うことはありません。使う道具もプレーの方法も、健常者が行うゴルフと全く同じです。

世界共通のゴルフ規則には、障がいのあるプレーヤーへの配慮を定める規則25が用意されています。

この規則では、プレーヤーがストロークに入る前の準備段階で、パートナーから助言・補助を受けることが認められています。具体的には、向きや立ち位置、クラブフェースの向きを言葉で確認し、ショット前の準備を安全かつ確実に進めます。

盲目のプレーヤーは補助員から次の支援を受けることができる:・スタンスをとるとき。・ストロークを行う前に目標を定めるとき。・アドバイスを求めたり、受ける

日本ゴルフ協会『ゴルフ規則(2023)』規則25.2a

目的はスコアだけじゃない!社会参加と生活の質の向上

ブラインドゴルフには、良いスコアを目指す競技としての楽しさはもちろん、新しい仲間との出会いや心身の健康増進など、人生を豊かにする多くの目的があります。

ゴルフという共通の目的を持つことで、自然と外出の機会が増えていきます。そして、練習会や大会で同じ趣味を持つ仲間と交流することで、社会的な孤立を防ぎ、生活の質(QOL)を大きく向上させます。

多くの人が、「次の練習会が楽しみ」という生きがいを見つけたり、目標に向かって努力する喜びを感じているでしょう。世代を超えたゴルフ仲間とのコミュニケーションは、日々の生活に新しい彩りを与えてくれる、かけがえのない財産になります。

初心者・未経験者がブラインドゴルフを始めるための3ステップ

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ブラインドゴルフを始めるのは、意外と簡単です。たった3つの手順で、誰でもその世界に飛び込めます。ここでは、実際に行動を起こすためのハードルを下げ、具体的な手順を時系列で示します。

1. 練習会や体験会を探す(JBGAの公式サイトがおすすめ)

ブラインドゴルフを始めるための最初のステップは、練習会や体験会の情報を探すことです。まずは「日本ブラインドゴルフ振興協会(JBGA)」の公式サイトをチェックするのが、一番の近道でしょう。

なぜなら、全国各地で開催される練習会や体験会の情報が、このサイトに集約されているからです。あちこち探す必要はなく、情報収集は基本的にここだけで十分と言えます。

公式サイトの「参加のご案内」や「NEWSニュース」といったページを開き、お住まいの地域や、参加しやすい場所の練習会スケジュールを確認してみましょう。

いきなりの参加が不安な場合は、見学だけの問い合わせも歓迎されていることが多いので、気軽に連絡してみてください。

公式サイトはこちら:JBGA 日本ブラインドゴルフ振興協会

2. 問い合わせと申し込み|事前に伝えておきたいこと

参加してみたい練習会を見つけたら、案内に記載されている連絡先へ問い合わせてみましょう。事前に連絡をしておくことで、主催者側も万全の受け入れ態勢を準備でき、当日のあなたの不安を大きく減らすことができます。

問い合わせの際に伝えておきたいのは、「ブラインドゴルフは初めてであること」「ゴルフ自体の経験の有無」「パートナー(ガイド)役の人が一緒に参加するかどうか」といった点です。

あわせて、「参加費はいくらか」「ゴルフクラブなどの道具は借りられるか」「当日の集合場所と時間」といった点も忘れずに確認しておきましょう。もし差し支えなければ、ご自身の障害の状況を伝えておくと、よりスムーズです。

3. 当日の服装と持ち物チェックリスト

練習会当日は、ゴルフ場のドレスコードを少し意識した、動きやすい服装を基本とします。服装は、ポロシャツのような襟付きのシャツに、チノパンなどの動きやすいパンツ、そして運動靴を合わせるのが一般的です。

ゴルフクラブはレンタル可能な場合が多いので、申し込みの際に必ず確認しておきましょう。まずは最小限の荷物で気軽に参加してみてください。

大切な存在:パートナー(ガイド)の役割

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パートナーの役割を、プレーヤーとガイド役になる方の双方が深く理解することで、安全でスムーズなプレーが実現します。ここでは、ナビゲーターとしての役割や、連携プレーの流れ、そして家族や友人がガイドになる場合の心構えを解説します。

コースの状況を伝え、安全を守るナビゲーター

パートナーが担う役割の中で、最も優先されるべきことは、プレーヤー本人と周囲の人の安全確保です。その上で、コースの情報を正確に伝えるナビゲーターとしての役目を果たします。

プレーヤーにとって、パートナーから発せられる的確な言葉が、安心してショットに集中するための生命線となります。

このような専門的な知識や安全確保の技術は、NPO法人日本ゴルフ大学校が開催する「ゴルフ指導者講習」などで、学ぶこともできます。

この講習では、ブラインド・ゴルフガイドとしての心構えや具体的なサポート方法を学べるため、パートナーとしてより深くプレーに関わりたい方にとって貴重な機会となるでしょう。

家族や友人がガイドになることも可能

ゴルフ経験のある家族や友人であれば、パートナーになることが可能です。気心が知れているため、コミュニケーションが取りやすく、プレーヤーがリラックスしてプレーに臨めるという大きな利点があります。

プレーヤーの成長を間近で感じられたり、ナイスショットの喜びを共に分かち合えたりと、ガイド役にとっても大きなやりがいを感じられるでしょう。

ただし、楽しむためには安全確保の知識が必須です。まずはプレーヤーとガイド役の方が二人で、JBGAなどが開催している「ガイド講習会」に参加してみるのが、最も理想的なスタートと言えます。

自宅から始められる!おすすめの練習方法

ブラインドゴルフを始めるにあたり、焦る必要は全くありません。ここでは、具体的な3段階の練習プランを紹介します。

まずは自宅でスイングの感覚を掴む

全ての基本は、自宅での練習から始まります。まずは周りに危険がない安全な場所で、クラブを振る体の動き(スイング)とリズムを、体に覚えさせることから始めましょう。

ボールを打つ前に正しいスイングの型を作ることで、変な癖がつくのを防ぎ、その後の上達スピードが格段に上がります。素振り用の練習棒などを使って、パートナーに姿勢をチェックしてもらいながら、繰り返し体を動かしてみましょう。

パターマットを使った練習も非常におすすめです。ボールがカップインする音や、打つ強さによって転がる音がどう変わるかを聞き分けることで、視覚に頼らない距離感をつかめます。

ゴルフ練習場でボールを打ってみよう

自宅での練習でスイングの感覚に慣れてきたら、次の段階としてゴルフ練習場で、実際にボールを打つ爽快感を味わってみましょう。

クラブの芯でボールを捉えた時の手に伝わる感触と、気持ちの良い打球音は、ゴルフの最大の魅力の一つです。この感覚を知ることで、ゴルフがもっと好きになり、練習への意欲も高まるでしょう。

ショートコースでコースデビューの体験を

本格的なゴルフコース(本コース)にデビューする前に、まずは「ショートコース」で“プレデビュー”を体験することをおすすめします。ショートコースは、全てのホールが短い距離で設計されているため、初心者にとって様々な利点があります。

移動距離が短く、プレー時間も比較的短時間で済むため、体力的な負担が少なくてすみます。実践的なプレーの一連の流れを、リラックスした気持ちで体験できます。

そして、スコアを作る上で重要となる、グリーン周りからのアプローチやパターといった短い距離のショットを、集中して練習できます。「9ホールを自分の力で回りきれた!」という達成感は、本コースデビューに向けた大きな自信になるでしょう。

まとめ

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ここまで、ブラインドゴルフの基本的な仕組みから、具体的な始め方、練習方法までを解説してきました。

この記事を読んで、ブラインドゴルフがあなたにとって、決して遠い存在ではないことを感じていただけたのではないでしょうか。

あなたに必要なのはほんの少しの勇気だけです。まずは難しく考えず、公式サイトを覗いてみませんか。

あとがき

この記事を作成するにあたり、新しい挑戦には、期待と同じくらい不安がつきものです。特に、視覚に頼らないなると、そのハードルはさらに高く感じられると思います。

しかし、ブラインドゴルフの世界では、多くのボランティアや家族、仲間が助けがあります。何ごともチャレンジすることが、より自分の人生を豊かになるのではないかと感じられました。

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