跳ばないバレーが熱い!シッティングバレーボールで感じるチーム力

スポーツファン
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床に座った姿勢で繰り広げられるシッティングバレーボールは、ジャンプを使わずにチーム力とスピードで魅せるパラスポーツです。この記事では、パラスポーツに関心のあるスポーツファンの方に向けて、国際大会での白熱した戦い、日本代表の挑戦、地域での体験機会などを詳しく紹介します。

床に座って戦う!シッティングバレーボールとは

シッティングバレーボールは、主に下肢に障がいのある選手が床に座った姿勢でプレーする6人制のバレーボール競技です。

国際パラリンピック委員会(IPC)の公式競技として、男子は1980年アーネム大会、女子は2004年アテネ大会から正式に採用されています。

選手は常に臀部を床につけたままプレーするという独特なルールがあり、移動やジャンプが制限される分、高度な戦術や素早い反応が求められます。

バレーボールの要素を残しながらも、床上で繰り広げられるスピーディーな攻防が魅力のひとつです。障がいの程度により参加可能なクラスが分けられ、一部の軽度障がい者(最小障がいクラス)の参加も認められています。

視点が低いことで生まれる迫力と、選手同士の緊密な連携が際立つ競技であり、観る側にも新しい感動を届けています。

誰もが参加できるスポーツ──教育・福祉現場での活用

シッティングバレーボールは、障がいの有無に関わらず共に楽しめるスポーツとして、教育や福祉の現場でも注目されています。学校の授業や地域の福祉イベント、大学の体験授業など、多様な場面で導入されています。

競技用具が比較的シンプルで、体育館の広さがあれば実施可能なため、取り組みやすい種目のひとつといえます。

健常者が参加する場合も、座った状態で行うルールを守ることで、障がいのある人と公平にプレーでき、インクルーシブな活動としての効果も期待されています。

競技を通して、協力や理解を育む教育的な効果があると評価されており、特に中高生や大学生にとっては、新たな視点でスポーツを捉える機会にもなります。体験を通じて、パラスポーツへの関心を高める入り口としても機能しています。

日本代表チームの挑戦──パラリンピックへの道

日本のシッティングバレーボールは、一般社団法人日本パラバレーボール協会がナショナルチームの育成と競技普及を担っています。

男子・女子ともに国際大会への参加経験があり、アジアパラ競技大会やパラバレーワールドカップへの出場を通じて、世界の強豪と対戦してきました。

また、協会は普及活動にも力を入れており、体験会や講習会を通じて、競技の認知度を高める努力がなされています。

日本代表の活動はSNSなどでも随時発信されており、ファンが情報を得やすい環境も整いつつあります。国際舞台での挑戦と国内普及を両立する姿勢が、競技の成長を支えています。

シッティングバレーボール日本代表の挑戦──個性と経験が光る選手たち

シッティングバレーボールの日本代表には、多様な経歴と背景を持つ選手たちが集まり、それぞれが持ち味を発揮してチームの力となっています。男子代表では、若手からベテランまでが融合し、力強いプレーとチームワークで国際大会に挑んでいます。

たとえば、兵庫県出身の柳昂志選手は、17歳で交通事故により左足を切断後、シッティングバレーに出会い競技を開始。2018年の世界選手権にも出場した実力派アタッカーとして活躍しています。

大阪府出身の飯倉喜博選手は、25歳のときに仕事中の事故で左足を切断し、体験会を経て競技を始めました。2018年に代表入りを果たし、落ち着いたプレーと確かな技術でチームに貢献しています。

また、千葉県出身の加藤昌彦選手は、医療事故により左足を切断したのをきっかけに競技を始め、シドニー2000・アテネ2004と2大会連続でパラリンピックに出場したベテラン選手です。

経験豊富な選手として、若手選手の精神的支柱にもなっています。

女子代表も個性豊かな選手がそろっています。兵庫県出身の西家道代選手は、長年バレーボールを続けていた中で怪我を負い、その後シッティングバレーに転向。2009年に競技を始め、2010年に日本代表入り。

ロンドン2012パラリンピックでは7位入賞に貢献し、東京大会にも出場を目指しました。チームでは統率力と経験を生かし、精神面でも大きな支えとなっています。

赤倉幸恵選手(京都府出身)は16歳の時の事故で右足を切断後、競技を始め、2012年に代表デビュー。2018年のアジアパラ競技大会では銅メダルを獲得した経験があります。

東京都出身の小方心織吏選手は、骨肉腫の影響による障害を乗り越え、長年アタッカーとして活躍。

北京2008・ロンドン2012に続き、3度目のパラリンピック出場となりました。これらの選手たちが持つ経験と個性が、日本代表の強さの源になっています。

全国で広がるクラブ活動と大会情報

日本各地にはシッティングバレーボールのクラブチームが存在しており、初心者から経験者まで幅広い層が参加しています。地域によっては障がい者スポーツセンターや体育館などを拠点に定期的な練習が行われています。

全国大会としては選手権大会が毎年開催され、各地域の代表チームが一堂に会して熱戦を繰り広げています。また、地域単位の大会や交流試合、デモンストレーションイベントもあり、観戦や体験の機会が広がっています。

クラブチームの情報は日本財団パラスポーツサポートセンターのウェブサイトに掲載されており、問い合わせを通じて見学や体験が可能な場合もあります。地域ごとの取り組みが、競技のすそ野を広げる大きな力となっています。

世界の強豪はどこ?国際大会の見どころ

シッティングバレーボールの国際大会では、男子ではイランやボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジルといった国々が強豪として知られています。

特にイランは長年にわたり世界選手権やパラリンピックで好成績を収めており、高さとパワーを活かしたプレーが特徴とされています。女子ではアメリカや中国の活躍が目立ち、スピードと戦術に優れたチームとして注目を集めています。

これらの国々が出場する大会として、World ParaVolleyが主催するシッティングバレーボール世界選手権や地域別のアジアパラ競技大会などがあります。

国際大会はYouTubeなどを通じてライブ配信やアーカイブ配信されることもあり、国内からの観戦も可能です。試合を見ることで、各国の戦術や選手の個性、そして競技の奥深さに触れることができ、応援の楽しみ方が広がります。

応援のカタチはいろいろ──観る・支える・伝える

シッティングバレーボールを応援する方法にはさまざまな形があります。試合を観戦して選手を知ることはもちろん、SNSで情報を発信したり、団体や選手への寄付、クラウドファンディングを通じて支援したりと、直接的・間接的に関わる手段が増えています。

大会情報は日本パラバレーボール協会のウェブサイトや、World ParaVolleyのSNSで発信されており、遠方からでも観戦や応援が可能です。

さらに、学校や地域イベントでの講演やデモンストレーションを見た感想をブログや記事で伝えることも、競技の魅力を広める重要な一歩となります。特に情報が限られている地方では、個人による発信が競技への理解を促す大きな役割を果たすことがあります。

応援の方法に正解はなく、関心を持ち続けることが選手や競技の力になると考えられています。

まとめ──“跳ばないバレー”が教えてくれるスポーツの奥深さ

シッティングバレーボールは、座った姿勢で行うというユニークな形式ながら、スポーツの本質ともいえるチームワークや戦略性、そして努力する姿に心を動かされる競技です。

スピード感あふれるラリー、選手たちの連携力、世界と戦う日本代表の挑戦など、観る者に多くの気づきと感動を与えてくれます。

スポーツファンの視点でシッティングバレーボールを見つめ直すことで、新たなスポーツの価値や可能性を感じられるかもしれません。

あとがき

この記事を通じて、シッティングバレーボールの奥深さや魅力が少しでも伝わっていれば幸いです。調査を重ねる中で、床に座ったままのプレーとは思えないほどのスピードと迫力、そして選手たちの高い技術に驚かされました。

同時に、競技に取り組む姿勢やチームとの信頼関係にも強く心を打たれました。パラスポーツはまだまだ情報が限られており、一般の人々に届きにくいのが現状です。

しかし、こうしたスポーツにも確かな魅力と感動があることを、より多くの人に知ってもらえたらと願っています。この記事がその一助になれば嬉しく思います。今後も多様なスポーツの現場に触れ、伝えていくことを大切にしていきたいと思います。

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