従来の卓球とは一味違う、新しいスポーツ「スルーネットピンポン」をご存知でしょうか?ネットの上ではなく、わずか42mmの隙間を通してボールを打ち合う、ユニークなルールが特徴です。視覚に障がいのある方も健常者も、同じルールで楽しめるバリアフリーなこのスポーツは、年齢や性別を問わず、誰でも気軽に始められます。本記事では、スルーネットピンポンの基本的なルールから、その魅力、パラリンピックとの関連性、そして始めるための情報まで、幅広くご紹介していきます。
はじめに – スルーネットピンポンとは?みんなで楽しめるニュースポーツ
スポーツの世界には、年齢や性別、そして身体的な特性に関わらず、誰もが一緒に楽しめる工夫が凝らされたものがいくつか存在します。近年、特に注目を集めている新しいスポーツの一つに、「スルーネットピンポン」というものがあります。
このスポーツは、1995年頃に視覚に障がいのある方とそうでない方が、互いに同じルールで楽しむことができるようにと、考案されたバリアフリーのニュースポーツとして知られています。
通常の卓球と大きく異なる点は、ボールをネットの上を通して打ち合うのではなく、ネットの下にあるわずかな隙間を通して打ち合うということです。
一般の卓球台のネットの高さは15.25cmですが、スルーネットピンポンの場合は、台の表面からわずか42mmという低い位置にネットが張られています。
そのため、ボールを勢いよく打ち込むというよりも、むしろテーブルに沿わせるように、繊細なタッチで滑らせて相手コートに返す独特の技術が求められます。
スルーネットピンポンは、もともと視覚障がいのある方がプレーしていたサウンドテーブルテニス(盲人卓球)を基に、アイマスクの使用をなくすなどのルール変更を行うことで、より多くの人々が気軽に楽しめるように改良されました。
そのため、老若男女問わず、また、車いすを利用している方や視覚に障がいのある方など、さまざまな人が同じルールで一緒にプレーできることが、このスポーツの最大の魅力と言えるでしょう。
誰もが対等に楽しめるように工夫されているため、スポーツを通じて、世代や障がいの有無を超えた交流が生まれることもあるかもしれませんね。
基本ルール – ネットの下を狙う新感覚卓球
スルーネットピンポンの基本的なルールは、通常の卓球と似ている部分もありますが、ボールがネットの下を通過するという特性から、いくつかの特別なルールが存在します。
スルーネットピンポンは、ボールをネットの下に通すというユニークな特性から、一般的な卓球とは異なる特有のルールが定められているのが特徴です。
まず、サーブを行う際には、サーバーはボールがネットの下を通過して相手コートのエリアに到達する必要があります。レシーブについても同様で、相手がサーブしたボールをネットの下を通して、相手コートに打ち返す必要があります。
常にネットの下を意識したプレーが求められるため、ボールの高さや角度を細かく調整する技術が重要になってきます。
通常の卓球では、サーブやラリー中にボールがネットに触れてから相手コートに入った場合はやり直しとなります。
スルーネットピンポンでは、最初にボールを打つ「サービス」のときに、ボールがネットに少し触れてしまっても、相手のコートにきちんと届けばそのままプレーが続けられます。
また、ボールが相手のコート上に入らなければアウトとなり、相手の得点となります。
このように、常に低いネットの下を狙ってボールをコントロールする必要があるため、通常の卓球とは異なる戦略や技術が求められる、新しい感覚のスポーツと言えるでしょう。
さらに、スルーネットピンポンでは、試合中、特にボールインプレーでない時間帯には、好意的な応援やアドバイスなどが認められている点も、このスポーツの特徴の一つかもしれません。
参加者同士がコミュニケーションを取りながら、和やかな雰囲気で楽しめるように工夫されているようです。
パラリンピックとの関連 – 障がい者スポーツとしての可能性
スルーネットピンポンは、視覚に障がいのある方と健常者の方が、特別な配慮なしに同じルールで一緒に楽しめるバリアフリースポーツとして作られました。
このスポーツは、障がいの有無にかかわらず人々が共に楽しみ支え合うことで、相互理解を深め、パラリンピックの理念である共生社会の実現に貢献すると考えられます。
現時点では、スルーネットピンポンはまだパラリンピックの正式な競技種目として選ばれていません。
しかし、スルーネットピンポンには障がいの有無に関わらず誰もが楽しめるという魅力があり、今後さらに多くの人々に広く認知され、競技人口が増え、競技レベルや運営体制が充実していけば、将来的にパラリンピックの正式種目として採用される可能性も十分にあるでしょう。
その実現の鍵を握るのは、関係者による地道な普及活動や競技の発展に向けた取り組みです。
全国各地での大会開催や指導者の育成、障がい者スポーツへの理解促進といった取り組みを通じて、スルーネットピンポンの価値がさらに評価され、将来、世界の舞台で活躍する日が訪れることが期待されます。
しかし、たとえパラリンピックの正式種目とならなかったとしても、スルーネットピンポンの持つ誰でも参加しやすいという特性は、これまでスポーツに親しむ機会が少なかった障がいのある方々が、新たなスポーツに挑戦するための素晴らしいきっかけとなるでしょう。
体を動かす喜びや達成感を味わうことで、自信や社会とのつながりを深めることができるはずです。
さらに、地域社会においては、健常者と障がいのある方がスルーネットピンポンを通じて自然に交流することで、互いの理解を深め、地域の一員としての連帯感を育むための非常に有効なツールとなることが大いに期待されています。
スポーツを通じて、互いを理解し、尊重し合う関係を築くことは、より豊かな共生社会の実現に繋がるのではないでしょうか。
始めよう!スルーネットピンポン – 用具、場所、コミュニティ
スルーネットピンポンを始めるために必要な基本的な用具は、通常の卓球で使用するラケットと、スルーネットピンポン専用のネット、そしてボールがあれば、まずは十分に楽しむことができるでしょう。
ラケットは、ラバーの貼られていない木製のものを使います。
ボールは、通常の卓球ボールでもプレー可能ですが、スルーネットピンポンでは、視覚に障がいのある方が音で認識しやすいように、小さな金属球が付いたボールが使用されます。
このボールが転がると、独特の音がするため、視覚情報に頼らずともボールの動きを把握しやすくなっています。
最も特徴的な用具であるスルーネットピンポン専用のネットは、通常の卓球ネットよりも下部の高さが低く設計されておりこの低いネットの下をボールが通過するように打ち合うことが、このスポーツの大きな特徴です。
これらの用具は、インターネット通販サイトや、一部のバリアフリー用品を取り扱うスポーツ用品店などで見つけることができるでしょう。
プレーする場所としては、一般的に体育館や公民館、地域のスポーツセンターなどの施設が利用されています。また、スルーネットピンポンの愛好家が集まるコミュニティやクラブも各地に存在します。
スルーネットピンポンは、特別な体力や技術がなくても気軽に始められるスポーツですので、ぜひ新しいスポーツの楽しさを発見してみてください。
まとめ
この記事では、新しいバリアフリースポーツ「スルーネットピンポン」の魅力をご紹介しました。ネットの下を打ち合うというユニークなルール、パラリンピックとの関連性、体験者の声、そして始めるための情報をお届けしました。
障がいの有無に関わらず、誰もが楽しめるスルーネットピンポンで、新たなスポーツの可能性を感じてみてください。
あとがき
スルーネットピンポンは、バリアフリーという新しい視点を取り入れた、誰でも気軽に楽しめるニュースポーツです。この記事を通じて、スルーネットピンポン、そして障がい者スポーツへの関心が少しでも深まれば幸いです。
ぜひ、この機会にスルーネットピンポンの体験会に参加したり、身近な人と一緒にプレーしてみてはいかがでしょうか。きっと、新しい発見と笑顔が生まれるはずです。
コメント