氷上での静かな戦略戦が魅力の車いすカーリング。パラリンピック種目としての注目度も高まる中、観戦や支援の方法を知りたいスポーツファンも増えています。この記事では、車いすカーリングの魅力や観る・知る・支えるための方法を紹介します。
車いすカーリングとは?基礎ルールと一般カーリングとの違い
車いすカーリングは、足に障がいのある選手が行う氷上のスポーツです。世界カーリング連盟(WCF)が定めたルールに基づいて行われており、冬季パラリンピックの正式種目としても採用されています。
一般のカーリングと大きく異なる点は、「スウィーピング(ブラシで氷をこする動き)」が行われないことです。選手は車いすに乗ったままストーン(石)を投げます。
ストーンは手で押し出すか、専用のスティックを使って投げます。スティックはストーンを前へ進める道具です。また、投げる前には安定した姿勢からストーンを投げるようにします。
チームは4人で構成されており、男女混合で最低1人は異性を含めるルールがあります。1試合は8回の攻防(エンド)で構成され、同点の場合は延長戦となります。
氷の上を滑って動くことができない分、投げる力の加減や方向、戦略がとても重要になります。初めて見る方にも、ルールがわかってくると頭脳戦の面白さが伝わってくる競技です。
氷上のチェス:戦略性の高さが光る車いすカーリング

車いすカーリングは“氷上のチェス”と呼ばれるほど、戦略面の比重が非常に高い競技です。スウィーピングができないため、一投一投の石の重さと軌道の精度が勝敗を左右します。
選手は緻密に投球のタイミングや方向を調整し、チームメンバーによって車いすが押さえられることで安定性を確保します。また、スティックを使いながら、微妙な回転やライン調整を行う技術も必要です。
試合中に使えるシンキングタイムは約38分あり、プレーヤーはその時間を使ってエンドごとの戦略を練ります。延長エンドでも1分間のタイムアウトがあり、緊張感の高い決断が求められる瞬間があります。
敵陣に複数のストーンを配置する戦術や、自陣を守りながらチャンスを狙う戦略など、チェスのようにシーンに応じたプレーが展開されます。こうした高度な駆け引きこそが、本競技の魅力の一つではないでしょうか。
どこで観られる?車いすカーリングの試合・イベント情報
車いすカーリングの大会は国内外で開催されており、主な大会としては「パラリンピック冬季競技大会」「世界車いすカーリング選手権」「パシフィックアジアカーリング選手権」などがあります。
また、各地で開催される体験イベントも注目です。イベント情報は、全国障害者スポーツ協会や地方自治体のウェブサイトを定期的にチェックすると見つけやすくなります。
応援の方法を知りたい人へ:観るだけじゃない支援のかたち
車いすカーリングを応援する方法は、試合観戦だけにとどまりません。まず、SNSでの情報拡散は大きな支援のひとつです。選手やチームの投稿をシェアすることで競技の認知度向上に貢献できます。
また、クラウドファンディングによる資金支援も近年増加しており、遠征費用や用具の購入費用の支援を目的としたプロジェクトに参加することで、具体的な応援が可能です。さらに、競技団体の公式グッズを購入することで間接的なサポートになります。
主な支援手段には以下のようなものがあります:
- SNSでの試合結果・選手の紹介のシェア
- クラウドファンディングや募金への参加
- 競技団体公式サイトでのグッズ購入
- 自治体主催イベントへの参加やボランティア登録
これらのアクションを通じて、車いすカーリングを「支える」ことができます。特に、競技に関する情報を積極的に発信することで、新しいファンを増やすきっかけを作ることも可能です。
選手の努力に心を打たれる!知られざる日常とトレーニング
車いすカーリングの選手たちは、日々の生活と競技の両立に工夫を凝らしています。一般的に週数回の氷上練習に加え、戦術理解やビデオ解析、体幹トレーニングなども欠かせません。
特にストーンを正確に投げるためには上半身の筋力と姿勢維持が求められるため、陸上でのトレーニングも重要な要素となっています。
また、競技用の車いすの調整やデリバリースティックの使い方も個別に最適化されており、自身の障がい特性に合わせたカスタマイズを続けている選手も多いです。
日常では仕事や学業との両立に加え、公共交通機関を使った遠征や練習拠点への移動に時間と労力がかかることもあります。
それでも競技を続ける理由は、仲間とともに戦う喜びや、観客の応援によって得られる達成感が大きいからです。そうした努力の裏側を知ることで、応援する気持ちがより深まるかもしれません。
あなたの街にも!車いすカーリング体験ができる場所一覧

日本全国には、車いすカーリングを体験できる施設がいくつもあります。例えば、軽井沢アイスパーク(長野県)は、カーリング教室が開催されており、60分の体験レッスン(3,000円)を受けることができます。
北海道では、遠軽市のADVICS常呂カーリングホールや札幌市の北海道銀行カーリングスタジアムなど公共施設で車いす向け体験を開催する機会が増えています。
各地の体験情報は、全国障害者スポーツ協会や各自治体のウェブサイト、福祉・スポーツ団体のSNSで発信されています。
海外の強豪国は?世界と日本の競技レベルを比較してみよう
世界的に見れば、中国が車いすカーリングのランキングで首位を維持し、 カナダやスウェーデン、ノルウェー、韓国が続いています。一方日本は13位程度で、着実に競技レベルを伸ばしている状況です。
世界選手権では2025年に中国が優勝し、東京2018・北京2022で金メダルを獲得した中国代表の強さが際立っています。カナダやスウェーデンも長年にわたってメダル常連国で、安定した技術力と氷上戦略に定評があります。
一方で日本は2010年バンクーバー大会以降パラリンピックへの出場が途絶えていましたが、混合ダブルスでは2025年に日本代表が世界選手権初優勝するなど、さらなる可能性が期待されています。
こうした背景から、都市部でも地方でも応援の気持ちがますます高まっていると考えられます。
なぜ今注目される?車いすカーリングの社会的意義とは
車いすカーリングは、障がい者スポーツとしても重要な社会的意義を帯びています。男女混合チーム制で年齢や性別を問わず競技が可能であり、「共生スポーツ」としてインクルーシブな価値観を体現しています。
さらに、スウィーピングなしで氷上の状態を読みながら投球する戦略性が評価され、心理的・頭脳的な側面での障壁を比較的低くし、多様な人が参加できる競技と言えます。
また、国内外のパラスポーツ推進団体や自治体によるイベント開催や普及活動も進展しており、この競技を通じて障がい者の日常と社会参加に対する意識改革にも寄与しているようです。
社会全体で共に楽しめるスポーツとして、注目が集まりやすい背景が形成されつつあります。
スポーツファンにできること:車いすカーリングを広めるために
スポーツファンの方が車いすカーリングを広めるには、さまざまな関わり方が考えられます。まず、記事執筆やSNSでの情報発信により、試合結果や選手の努力を積極的に紹介することが認知拡大につながります。
特に、混合ダブルス世界タイトルや世界ランキング情報は関心を集めやすく、ファンの方の言葉で伝えることで新たな支持層を開拓する一助になります。さらに、クラウドファンディングや寄付活動への参加も具体的な支援になります。
チームや選手の遠征費や用具購入を後押しすることで、実質的な応援が可能です。そのほか、ボランティアとしてイベント・大会運営に携わる、競技団体の公式グッズを購入する、学校や職場で体験イベントを呼びかけるなど、多様な形で関われます。
社会における価値形成や共生の広がりに、ファンの視点と行動が大きな役割を果たす可能性もあります。
まとめ:車いすカーリングをもっと身近に感じるために

車いすカーリングは、戦略性やチームワークが問われる奥深い競技であり、障がいの有無に関わらず多くの人が楽しめるスポーツです。
今後も車いすカーリングに関する大会情報や選手の活躍、支援活動の取り組みなどに注目し、自分なりの応援スタイルを見つけていくことで、より豊かなスポーツライフにつながるかもしれません。まずは興味を持つところから始めてみてはいかがでしょうか。
筆者あとがき:スポーツに縁がなかった私から
私が今回、車いすカーリングについて調べ、知る中で感じたのは、競技としての奥深さだけでなく、そこに関わる人々の情熱や誠実な努力に心が動かされたということです。
競技の裏にある物語を知ることで、スポーツがより人間的で、誰もが関われる可能性を持った世界であることを実感しました。
スポーツが得意でなくても、知識がなくても、誰かを応援する気持ちや、なにかに共感する気持ちは誰にでもあります。私のような立場の人間にも「知る」ことから始められるきっかけがあるのだと気づきました。
これからも、こうした競技や選手たちの魅力を伝えることで、スポーツの新しい楽しみ方や関わり方を少しでも広げていけたらと思います。
コメント