フレームフットボールは、ランニングフレームを使ってプレーする新しいパラスポーツとして注目を集めています。フレームフットボールに欠かせない用具の一つが「ランニングフレーム」です。これは、歩行に困難がある子どもや若者が、身体を支えながら自由に動くことを可能にする補助具で、主に背部のサポートバーと4輪の安定した構造を持っています。この記事では、フレームフットボールの魅力や大会情報、選手や団体の取り組み、将来性などを紹介します。
フレームフットボールとは？—“走る自由”をすべての人に
フレームフットボールは、歩行に障がいのある子どもたちの運動機会を広げるために考案されたスポーツです。
特徴的なのは、車いすを使用せず、立ったまま専用の歩行補助器「フレーム」で身体を支えながら移動できることです。これにより、脳性まひなどで歩行に不自由さのある子どもたちでも、スピード感やプレーの自由を体感しやすい構造になっています。
競技としての正式なルールは地域によって異なりますが、基本的には少人数で行われ、ボールの扱いや接触プレーに制限が設けられており、安全性にも配慮されています。
なぜ今、注目されているのか？—インクルーシブな競技の可能性
フレームフットボールが注目される背景には、スポーツのインクルーシブ化を求める声の高まりがあります。障がいの有無に関係なく、誰もが楽しめるスポーツを増やすことは、多様性を重視する現代社会の中で大きな課題です。
フレームフットボールは、身体的なサポートが必要な人でも参加できる点で、多くの関係者から期待されています。
また、専用の器具を用いることで身体機能を補いながらも、選手自身が主体的に動くことができ、競技性と自己表現の両方を実現しています。
現時点でパラリンピック正式種目ではありませんが、欧州の一部では競技会が開催されており、国内外でその可能性が模索されています。特に教育現場やリハビリ施設との連携が進んでおり、普及活動が活発になっています。
都市と地方で広がるフレームフットボールの輪
現在、フレームフットボールは都市部を中心に体験会や導入が進められています。たとえば都市部ではフレームフットボール体験の取り組みが一部で始まりつつあります。
一部地域でもフレームフットボールの体験会が実施され始めており、支援学校とも将来的な連携の可能性が模索されています。こうした取り組みにより、住む場所に関係なく子どもたちが競技に触れられる環境が整いつつあります。
誰でも応援団になれる！フレームフットボールと関わる方法
フレームフットボールは、観る・支える・広めるという3つのかたちで関わることができます。まず観戦では、地域の体験会や大会を訪れることで、選手たちのリアルなプレーを見ることができます。
次に支援活動として、ボランティアスタッフや審判補助など、イベント運営に関わる形があります。そして広報活動では、SNSでの情報拡散や体験会の紹介など、自分の得意分野を活かして応援することが可能です。
- 地域のイベントに参加する
- フレームフットボール団体に寄付や物品提供を行う
- SNSやブログで競技の魅力を発信する
スポーツファンとして、自分の関心と行動が誰かの背中を押す力になるかもしれません。
他のパラスポーツと比べた魅力とは？
フレームフットボールは、既存のパラスポーツと比べても独自の魅力を持っています。
車いすバスケットボールやボッチャ、ゴールボールなど、どれも高い競技性とチームワークが問われるスポーツですが、フレームフットボールは「走る」ことへの喜びや、チームでボールを追うという動作に重点が置かれている点が特徴です。
特に、軽量なフレームを使って身体を支えることで、全身を使った運動ができることが支持されています。
- 立位でプレーできるため「自分の足で動いている」感覚がある
- プレーエリアが比較的コンパクトで、導入しやすい
- 小規模な施設でも開催可能なため地域イベントにも適している
体力や機能に制限がある人でも、自分の可能性を感じられる設計となっており、多様な身体条件の方々にとって魅力的なスポーツといえるでしょう。
国際的な広がりと日本での可能性
フレームフットボールは、イングランドを中心にヨーロッパで広がってきたパラスポーツの一つです。
特にイギリスでは、障がいのある子どもたちの運動機会を増やす目的でプログラムに取り入れられており、全国大会の機会も設けられています。
このように海外では、教育や地域スポーツの中で自然に受け入れられつつある動きが見られます。
日本では、まだ競技人口は限られているものの、体験イベントやNPO団体の活動を通じて少しずつ認知が広がりつつあります。将来的には、教育現場や地域福祉と連携しながら、学校単位での活動が検討される可能性もあります。
また、日本には理学療法士や障がい者スポーツ指導員など専門職の支援体制が一定数存在しているため、連携次第では発展の土台が整いつつあるとも言えます。今後の展開は、普及活動の継続とともに、制度面や支援環境の整備が鍵となりそうです。
国内初のフレームフットボール体験会とその意義
日本で初めてフレームフットボールの体験会が開催されたのは、2019年、神奈川県川崎市でのイベントでした。
この体験会は、脳性まひの子どもたちにスポーツの機会を提供する活動を行うNPO法人「CPサッカー＆ライフ エスペランサ（Esperanza）」が主催しました。
イギリスで発祥したフレームフットボールを紹介する場として、理学療法士やサッカー指導者、当事者の家族などが協力し、初めてランニングフレームを使用した実践が行われました。
この取り組みは、身体に障がいがあっても安全に運動を楽しめる選択肢の一つとして注目され、参加した子どもたちや保護者から前向きな反応が寄せられました。
これらの活動は、日本国内でフレームフットボールの理解と関心を少しずつ高める役割を担っており、競技の発展に向けた重要な第一歩といえる動きとなっています。
フレームフットボールの体験会と地域での普及状況
フレームフットボールは、歩行器の一種であるフレームを使って行うパラスポーツです。日本国内では主に障害者スポーツ施設や福祉団体が中心となり、体験会や教室が開催されています。
例えば、横浜市の障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」では、NPO法人CPサッカー＆ライフエスペランサが主催して体験会を定期的に開いています。
これらの活動は、身体に障がいのある子どもたちが安心して競技を楽しめる環境作りに重点を置いています。その他、東京都多摩市でも体験会が行われ、理学療法士や教育関係者がサポートに関わっている事例があります。
現在のところ、フレームフットボールが学校の体育授業に正式に導入されているという確実な情報はありませんが、放課後等デイサービスや地域の福祉施設との連携を模索する動きが見られます。
こうした取り組みは、障がいのある子どもたちの身体機能向上や社会参加を促進する一助として期待されています。
まとめ
フレームフットボールは、障がいのある人々に「動く楽しさ」と「チームでプレーする喜び」を提供する新しいスポーツとして、少しずつ全国に広がりつつあります。
特にスポーツファンにとっては、選手たちの挑戦や成長の過程に共感しやすく、応援の気持ちを具体的な行動につなげやすい競技といえるかもしれません。
まずは知ることから始めて、自分にできる形で関わってみることが、スポーツファンとしての大きな一歩になるかもしれません。
筆者あとがき
私はこれまでスポーツにあまり縁がなく、競技に参加することも、観戦に熱中することも少ない生活を送ってきました。フレームフットボールについても、最初は名前さえ知りませんでした。
フレームフットボールは、単に運動機会を提供するだけでなく、「自分の力で動けること」や「仲間とゴールを目指すこと」に大きな意味があるように感じました。
私のようにスポーツが得意でない人にとっても、この競技の存在や広がりを知ることは、誰かの挑戦を応援する入口になると思います。少しでも多くの人にこの新しいパラスポーツの魅力が伝わり、温かいつながりが広がっていくことを願っています。
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